2008-01-01から1年間の記事一覧

ぼくたちの好きな冒頭13 / 三浦俊彦を読もう1 覆面作家サタミシュウを「追い詰めない」

中央研究室にいま、教官(傍点)たちのてんでに話す声とタバコの煙とが同じ濃度で充満していると仮定しよう。そう無理な仮定でもあるまい。中央研究室というからには、さしずめ研究科主任である安蛭武雄教授の研究室の通称であり、他の研究室のさしあたり一…

インディペンデントなロックフェスティバルの現場報告6

●西新宿のビザールなレコードショップLos Apson?(http://www.losapson.net/)の山辺圭司が、歌舞伎町の風林会館キャバレー跡地で行ったのが「specialoose presents バクト in 歌舞伎町@風林会館」(2006年7月15日)。ことの起こりについては、山辺氏が魅力…

ゼロ年代の文化資本論争?

金曜20時にスタートした飲み会は、いつの間にか新宿の根城に場所を変え、土曜明け方には麻雀大会へとヘンゲしていた。なかなか親が変わらないから全然終わらない。完全に日が出ている中、必死で帰ってきて寝て起きたらここでは言えないような時間で、楽しみ…

ヘンな文章が好きだ7 N森さんの新作「ただ坐ることに打ち込む」最終回

●ただ坐ることに打ち込む5(最終回) バラック小屋に西日が差した。西日はまぶしいのだった。 部屋の畳はすっかり色あせて替え時をとうに逸していた。家族の誰もが畳のことなぞ関心もよせていないのだった。 借家の大家はいい人だ。貧乏人の一家を破格の家賃…

まがじなりあ・あちらこちら14 雑誌は私にすべてのことを教えてくれた

今月の『ミュージック・マガジン』(10月号)のことをまだ書いてなかった。「特集Perfume現象」は9つの記事からなる充実した内容で、ファンならずとも楽しめるが、この特集のなかで5つの記事を書き、司令塔兼点取り屋として大いに気を吐いているのが、ライタ…

ヘンな文章が好きだ6 N森さんの新作「ただ坐ることに打ち込む」第四回

●ただ坐ることに打ち込む4 数日後、石澤さんと電話で話す機会があって、あなたを見かけたと思ったら向井秀徳だったという話をした。すると相手は複雑そうに、 「向井秀徳は大好きだけど、似てるというのはなんだかうれしくないよ。今日は『崖の上のポニョ』…

インディペンデントなロックフェスティバルの現場報告5

自分のなかで一番意識していることななにかっていうと、ひとつは新しい方法、新しい秩序をどれだけ多くいち早く、発見、発明することができるかっていうこと。 後藤明夫編『Jラップ以前 〜ヒップホップ・カルチャーはこうして生まれた〜』 (1997,TOKYO-FM出…

ヘンな文章が好きだ5 N森さんの新作「ただ坐ることに打ち込む」第三回

●ただ坐ることに打ち込む3 人は孤独でない方がいい。お腹がペコペコでなかったらなおのこといい。というのも実のところ私は空腹のため卒倒寸前であるのだった。背中のリュックサックの中にしのばせている、先ほど格安で購入した無印のチーズドッグを食べよう…

「止まっては、また動き出す。全てのものがそうだと思うんですね。止まっては動き出す。動き出してはまた止まる。その繰り返し。そんなことをね。表現したいなと思っとるわけなんですね。」 http://d.hatena.ne.jp/magro/20080825#p1より 「止まってはまた走…

 ヘンな文章が好きだ4 N森さんの新作「ただ坐ることに打ち込む」第二回

●「ただ坐ることに打ち込む」2 四方八方、自宅から車で五分程度で移動できる範囲が、彼の世界だ。五分ほど走った場所にある工場でブラジル人と汗みずくになって働いて、家に帰って白い飯と大根の菜っ葉と生ブシ(※)さえ食べていれば、彼はそれで仕合せだ。…

本はさいきん高いか

書物狂いには<書痴><書狼><書豚>の三段階があって、病膏盲の度合いを示すとされる。その最高段階である<書痴>というのは尋常一様の本好きでは済まないのであって、犯罪レベルに達する必要があるらしい。かりに世界に二冊しかない稀書中の稀書を手に…

日刊大衆決断 七夜連続企画2/ヘンな文章が好きだ3 N森さんの新作「ただ坐ることに打ち込む」第一回

●ことのはじめに以前かちゃくちゃは彼女を「名古屋のN森」と紹介したが、「N森」は「名古屋近傍」の人でないようなので、以後「愛知のN森」とする。あるいは本人に言わせれば、「愛知」でもなく、「三重と愛知の県境」、もしくは「三重のN森」だと名乗るかも…

日刊大衆決断 七夜連続企画1 ryuto taonと抱擁家族の新曲公開

<これまでのあらすじ>スピリチュアルダンスロックユニットryuto taonと抱擁家族は、2008年4月、西荻窪FLATでのイベント「The Hammer Party」へ出演したのち、完全に燃え尽きてユニットとしての活動を休止。それからトラックメイカーのryuto taonは、ビジュ…

インディペンデントな音楽フェスティバルの現場報告4

13日。前夜朝までの宴会で、起きたのは14時だ。BEAT CRUSADERS主催の野外フェス「BOYZ OF SUMMER」は、千葉みなとのポートタワー下の公園にて、この日13時からスタートだったが、ヤケになる気持ちおさえ、おれは身づくろいして千葉へ向かった。京葉線千葉み…

対決展、ZAZENワンマン、スカイクロラはみんな貶すから切ない、難波ベアーズで山本精一のインプロに酔う

2008年の夏を日記仕立てで。■13日。今日のがすと確実に見逃すので上野で「対決-巨匠たちの日本美術」(http://www.asahi.com/kokka/)展。日本画とか彫刻とかの贅沢なグループ展(てみんな死亡してても言うんすかね)。ほとんど時間なく小走りで見て回ったが…

「LIVE JUNK」でさらに進化したLimited Expressを見た

今日も渋谷駅。タワレコでeastern youthの極東最前線のコンピと、nhhmbaseの『波紋クロス』、あと『大人の科学マガジン シンセサイザークロニクル』(学研)、「MUSE」特集とそれに含まれる米原康正インタビューめあてで『EYESCREAM』を買った。時間がないの…

ドラびでおの仕組み

ちょっと昨日のつづき。何度も見てる割には、正確には知らないドラびでおのシステムの仕組み、マカロニレコードのサイトの、公開インタビュー中にあった。けっこうシンプルなのですね。 ▼:で、ドラムセットなんですが、まぁ、簡単に言えば、ドラムがビデオ…

 せいこうナイトの80年代地下文化講義的豆情報、アナーキストとしての一楽儀光はパフォーマーとしての一楽儀光と貨幣の裏表のような関係である、不意打ち的パフォーマンス時のChim↑Pomは観客のリアクションも面白い

六本木スーパーデラックスで「せいこうナイト with ADX」(http://precog-jp.net/2008/07/_with_adx.html)。一時間おくれで着く予定が、花火だの人身事故だの(余談だが7月30日の夜は凄惨だった。19:04、戸塚駅で一件。横須賀線ストップ。20:17に復旧するも…

1-3 そしてつづく

インディペンデントなロックフェスではないが、7月7日から渋谷のシアターNでレイトショー公開されている「77BOREDRUM」を見てきた。http://www.theater-n.com/movie_77.html2007年7月7日、ニューヨークのブルックリン大橋の下の緑萌える公園で行われた、V∞RE…

1-2 なんか悔しいので

福岡を褒めるばかりでも癪なのでほかの地域の話をしようか。この夏のインディペンデントなロックフェスティバルでは、SHIFTなどの地元のバンドが手掛けている山形の「do it 2008」への注目度が高い。ナタリーも、HMVも、熱心に紹介していますね(http://nata…

1-1 福岡では、毎晩がお祭り騒ぎ状態みたいだ

福岡の3ピースバンドIN JAPAN(http://www.innjapan.info/index.html、id:innjapan)は、矢沢永吉とX-JAPANを心底崇拝して彼らなりに自分らの音楽にそれらを取り入れ、結果、今までだれも見たことないような、脱臼したハードロックをやることになった。ナー…

ryuto taonの映像コラボレーション

3月のライブ以後、ryuto taonは燃え尽き症候群に、かちゃくちゃは失語症に襲われ、事実上活動休止状態のryuto taonと抱擁家族。しかしryuto taonは苦境のなかにあって独り雨露を飲み、飢え(?)を凌ぎながら陋屋でひっそりとトラックメイキングに勤しんでい…

わがよき坑夫

大友良英の単行本、栗原裕一郎『盗作の文学史』、「偽日記」の古谷利裕『世界へと滲み出す脳』など、今月は面白そうな新刊が軒並み2000円越えなので戦々恐々として本屋まわりす。そんななか新潮文庫「おとなの時間」シリーズとして新装した漱石『坑夫』はお…

会場に100人いないイベントが面白い

今日は雨ン中、歌舞伎町のはずれ、新宿シアター・ミラクルで「シベリア少女鉄道の再放送」へ。ライブハウスのMOTIONが入っている雑居ビルのなかにわりと広い上映スペースがある。過去のお芝居4作(第4回公演「栄冠は君に輝く」、第11回「VR」、第16回「残酷…

ライジングサンはことしで十年目

この夏は2年ぶりにライジングサンロックフェスティバルに行くことに決めた。場外では興行会社のウェスと「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の渋谷陽一との冷戦が話題になっているが、競合を避けてバンドブッキングをしているとは思えないほど(といってもこの二つの…

グラビアアイドルという百魔4 森下悠里、ボディスーツと対自核(上)

思い出したくないから忘れることにするよ 思い出す必要は無いから すっかり忘れてしまった どうでもいいから 思い出なんて どうでもいいから 記憶なんてナンバーガール「性的少女」『NUM HEAVYMETALLIC』(2002) 『ここで消えろ(ディサピアー・ヒア)』ブ…

映画『コントロール』を見た

渋谷シネマライズ(接客がたいへん丁寧)で『コントロール』(2007,アントン・コービン監督)を見た。ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスを主人公にした伝記映画である。夫人のデボラ・カーティスの原作"Touching from a Distance"を基にしており、…

ヘンな文章が好きだ3 あるマジックマッシュルーム・リアルタイム体験記

ハッシッシに萌えたベンヤミンは『陶酔論』(晶文社)を書き、各種ゴツいのをキメてヤーヘという謎のアルティメイタムドラッグを索めて南米を彷徨ったバロウズの各種著書など、文学的に麻薬の作用を紹介した文章は多いが、こたび紹介するマジックマッシュル…

グラビアアイドルという百魔3 中島史恵、Gravure’s Rainbow

私、なんだか死なないような気がするんですよ。宇野千代、1996年98歳での発言 現役最年長のグラビアアイドルをきみは知っているかい? 中島史恵(1968〜、EX-シェイプUPガールズ)を知っているかい? ほしのあきなんかまだ駆け出しの小僧みたいなもんだ、目…

ヘンな文章が好きだ1 N森さんの「錆鼠」

ヘンな文章が好きだ。それも、頭のネジがふっとぶくらい(マルシーBREAKfASTの森本雑感氏)のヘンな文章が。だから中途半端じゃ納得できない。「怪力の文芸編集者」はゲラゲラ笑えるくらいのマスターピースだと思っても、ほかの中原昌也の小説は中途半端に感…