まがじなりあちらこちら ぼくの文春読書感想文

今週の文春(七月五日号)はどこを繰っても面白い。原監督の醜聞は、それくらいでギャアギャアいうことはないよ、でも一億はすごいよね、と興味ないが。なので、気持ちが昂進して、たぶんこれまでで初めて、iPhoneフリック入力でブログを書いています。

巻頭のグラビアページ、宮嶋茂樹氏のオウムとの闘争を回顧した文章は永久保存版。わたしどもへの警鐘、そして当時の警察と自分らへの歯がゆさ。〈しかしオウムは名前を変え、体を変え、あなたの隣におるのである。当局が把握するだけでも千七百人。そんなオウムに、二十年前のやつらの凶暴性を知らぬ若者がつられて入信しているのである。〉

コラムは、とても楽しい『評伝ナンシー関』で、印象的な登場のしかたをしていた亀和田氏(新型ニュース番組とそれに出演する若手論客への共感と警告?)、つねに打率が高い能町みね子氏(顔を隠したもんじゅ君への違和感)、いい感じ。文春図書館、『潜り人、92歳』(新人物往来社)、こんな人がいたのか、買わなきゃ。

巻末のモノクログラビアで、清志郎の91年のアメリカ旅行(レコーディングの時か)の写真。同伴していた鋤田正義氏が写真集を出したそう。

その翌年リリースされた『メンフィス』(92)は大好きなアルバム。おれの最初のリアルタイムの清志郎で、CDで何度も聴いた(いまは居住環境や仕事の制約もあって音楽をCDで聴かないし、鬼のようにAmazonでポチっているから何度も繰り返し聴くアルバムもない)。同年ミュージックステーション矢野顕子とコラボ演奏した「世間知らず」もいいけど(矢野さんのバックコーラスが「へいへいへ〜いへい」という、しゃくりあげるような、ブルージーなもの)、愛息タッペー(栗原竜平)君に書いた「ラッキーボーイ」が好きだ。MG'sのあったかくて躍動する演奏と、慈愛あふれるボーカル。これと、同年のライブ盤『ハヴマーシー!』、87年のソロ第一作『レザーシャープ』がおれのベスト。

もしかしたらこの五年間は清志郎ファンにとって、あまり記憶に残らない期間かもしれない(そんなことはないのかもしれない。よく判らない。だいたい、なぜか自分の周りには熱心な清志郎ファンがいない)。でも、自分の趣味はただのひねくれ趣味ではないと思う。上記した二枚のソロは、RCが自家中毒に陥った時に生まれている。RCが順風満帆だったら、生まれてこなかった音楽なのだ。自身の転機(下手したら危機)に、本当にやりたいことを、日本から離れたところで溌剌とやって作った音楽で、だから何十年たっても、瑞々しい。

♯リンク先は、ライヴ盤ハヴマーシー!の聴き所を、共感と愛を込めて解説したブログです。いろいろ書きながら、このアルバムはおれのiTunesに入っていないので、こんど実家に寄ったら、探してみよう。
http://s.webry.info/sp/hanoi-stones-trex.at.webry.info/200808/article_3.html