生きていたスーフリナイトはあした開催、あるゲストDJの趣向を直前にお知らせ


 色の領野であるV4だけに、あるいは動きの領野であるMT野だけに小さな損傷のある症例を見ると、このことがもっとも顕著にわかります。たとえば、左右のV4が両方とも損傷されると、皮質性色盲(大脳性色盲)と呼ばれるシンドロームになります。皮質性色盲の患者は、世界がモノクロ・フィルムのような灰色の濃淡に見えますが、新聞を読む、人の顔を認識する、あるいは動きの方向を見るといったことについては、何も問題がありません。これに対してMT野が損傷されると、患者は本を読んだり色を見たりすることはできますが、ものがどっちの方向に動いているか、どれくらい速く動いているかがわからなくなります。
 この問題をかかえていたチューリヒ在住のある女性は、怖くて道路を渡れませんでした。車が動いているように見えず、まるでディスコのストロボライトがあたっているような静止像のつながりに見えたからです。
V・S・ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊、ふたたび』山下篤子訳、角川文庫


引越しをするので部屋を片付けていると、いろいろなものが出てくる。埋もれていたラマチャンドラン教授の本をちょっと読む(基本図書ですが、未読です!)。曰く、脳味噌は、1000億個のニューロンでできている。ニューロンは<ほかのニューロンと、1000個から1万個くらいの結合部で結びついており、シナプスと呼ばれるこの部位で、たがいに情報をやりとしてい>る。

それでも私は、私たちの豊かな精神活動が―あらゆる感情も情動も、思考も野心も、色恋も宗教心も、……脳のなかにある微小なゼリーの活動にすぎないという事実に驚嘆せずにはいられません。それ以外には何もないのです。
前掲書


あすに迫った「生きていたスーフリナイト」は、DJの音楽を聴きながら、酒を飲み、陽気に話をしたり、あまり知り合いがいないのでしなかったりするイベントですが、これを脳味噌と脳味噌が集まる大集会だと思うと、やっぱり不思議です。脳味噌にはなぜ音楽が心地よいのか、なぜクラシックやらインダストリアルやらノイズミュージックやらと音楽の好みが分かれるのか、そしてしょっちゅう酒を飲みたがるのか、謎は尽きない。

その謎には残念ながら本イベントを通じては答えは得られないと思うが、ある脳味噌(DJの)が選り好んだ音楽を、本人らのパーソナリティと引き寄せて味わったり、分析してみたりしたらまた面白いのではないでしょうか。

そんな積極的に愉しみを見出す(みなさんの)脳味噌に、お愉しみをもうひとつ与えたいと思います。明日は、ゲストDJのうちの一人、若島正先生 a.k.a.DJ乱視読者から、とっておきのプレゼントがあります。タイムテーブルを見て、若島先生がハイライトの20時台であること、先生だけDJタイムが長いこと、お気づきの方、いらっしゃいましたか。若島先生のDJは「映画と音楽」というお題でお届けします。しかも当日、先生のDJタイムのテキストとして、選曲リスト&DJ乱視読者による解説文が載った、「映画と音楽」をお配りします。もちろん、「生きていたスーフリナイト」のための書き下ろしです。

冒頭の文章をちょっと、引用します。

生まれて初めてのDJ体験ということで、いろんなテーマを考えた末、「映画と音楽」というごく普通のお題で揃えてみることにした。ここで選んだ映画は、イントロのものを除いて、すべてわたしが圧倒的な暇を持て余していた大学生のときに観たものばかりである。……
若島正「映画と音楽」


みなさん、ぜひ、楽しい夕べにご参集ください。

◎生きていたスーフリナイト
●日程/ 2013年7月20日(土)
●時間/ 17時〜21時30分
●場所/ BAR SAZANAMI(渋谷区円山町5-3 萩原ビルB1階/03-6657-3870)
●お代/ DOOR 1500円(1ドリンク込み)
○DJ / DJ BIG LOVE(スーフリナイト)、横文字三郎(スーフリナイト)、地球宇宙、そして我ら(スーフリナイト)、かちゃくちゃ(スーフリナイト/大衆決断)、ryuto taon
○LIVE/ ryuto taonと抱擁家族
○Special Guest DJ/ 若島正 a.k.a. DJ乱視読者、長谷正人 a.k.a. DJ 敗者たちの想像力、柳下毅一郎

■生きていたスーフリナイト タイムテーブル

1700 -1730 DJ Big Love
1730 -1800 ryuto taon
1810 -1835 ryuto taonと抱擁家族(LIVE)
1835 - 1905 長谷正人 a.k.a. DJ 敗者たちの想像力
1905 - 1935 柳下毅一郎
1935 - 2005 横文字三郎
2005 - 2045 若島正 a.k.a. DJ 乱視読者
2045 - 2115 かちゃくちゃ
2115 - 2130 地球宇宙、そして我ら


※サザナミへのアクセスですが、同じ建物の同じ階にある、アシッドパンダカフェのページを紹介させてください。※生きていたスーフリナイトとは関係ありません。すみません。
http://www.acidpanda.com/p/blog-page_4367.html

109の左横、道玄坂の、右側の歩道を上ってください。モスバーガーファミリーマートセブンイレブン、交番、カレーうどんのせんきちがあり、その先にカフェドクリエがあります。その地下です。

※前回も書きましたが、バーサザナミは25人から30人でいっぱいになる会場です。場合によっては、当日、非常に窮屈になるかもしれませんし、もしかしたら入れない、ということもあるかもしれません。その際は、どうかご了承ください(バーなので、予約はとっておりません)。しかし、入退場は自由です。万一きゅうくつさを感じられたときは、出たり入ったりしてみながら、楽しんでください。恐れ入ります。