新宿高島屋脇のアンティノックで、yageの来日公演千秋楽へ。yageはドイツのエモコアバンドで、彼らを招いたenvy(http://www.sonzairecords.com/)と共に、仙台から北九州まで、12日間で10公演を行った。

1組目にnine days wonderhttp://www.catune.com/)。去年の暮れに、落成して間もない早稲田大学学生会館で行われたthere is a light that never goes outの解散ライブは、徹底したDIY精神に貫かれ、自分はライブでそれまで経験したことのない未曾有の衝撃を受けたのだった(ライブ後には、物販で彼らの発行する雑誌『シンキョウ』の新刊とバックナンバーを買い込み、熟読し、こちらにも強い影響を受けた)。nine days wonderを初めて見たのもこの時で、客席と演奏者の間になんの仕切りも段差もない、普段は演劇か楽器の練習のために使われているようなのっぺりした会場で、たくさんの聴衆の頭ごしにちらちらと見える彼らの演奏は、その時はあまり理解できなかった。

それから10ヶ月が経ち、nine days wonderの不思議なポップセンスに自分は魅了されている。同じ界隈にいるバンドには見られない洒脱でポップなメロディライン、激しさや感傷の一本槍で攻めてくるのでなく、飄々と演奏しているうちにこちらの心を掴んでしまうような、掴みどころのなさがいい。シンセサイザーを効果的に使った新作『with EUPHORIA』は、エモコアやポストロックという括りを通過して、新しいポップミュージックの域に入っている。

アンティノックは表参道FABのような、奥行きのあるライブハウスで300人は入るのだろうか、かなり混んでいた。上記のライブほどではないが、あまり高低がないようで、ステージはほとんど見えない。9dwが終わると前の方に移動したが、この会場、冷房が直撃するところが何ヶ所あるようで、そこに来るとモッシュでもしていない限り具合が悪くなってくる。重ねて今日は周りの人間がやけに重いタバコを何本もやっていて、フィジカル面で難儀した。そしてとどめを刺すように、最前のスピーカーが聴いたこともないような巨大なボリュームで音を出し、envyもyageもデス声をバリバリ出し演奏もラウドで激しく(どちらのボーカルも楽器を持たず、スクリーミングに徹していた)、この道はまだまだ奥が深いと震えながら実感した。