http://d.hatena.ne.jp/wtnbt/20040715#p1

第131回芥川・直木賞選考前後に行われた、豊崎由美×大森望の対談記事(http://media.excite.co.jp/book/news/topics/089/)を受けての文章。こういうバランス感覚のある文章が読めるからネットは楽しい。

やっぱりいまだに作品が社会的要請に応答する場面として「文学」は捉えられているというのが、上の対談などではよくわかる。大森氏も豊崎氏も過激な口振りをしつつ基本的にはPTA的な倫理観の持ち主で、彼ら自身が批判する石原慎太郎宮本輝と大差ない(石原氏や宮本氏が問題とする「社会」はいわば新聞などが媒介する「世情」だろうし、大森氏や豊崎氏は「文芸ジャーナリズム」に媒介された「社会」に依拠している)のは明らかなんだが、まあ、こういう対立が「読み物」として成立するためにも芥川賞は話題になり続けなければならないのかもしれない。