日曜日の朝刊、おれんちは朝日新聞だが、一面下のスペースに筑摩書房が広告を出していて、そこに載っていた本がちくま文庫の『定本 畸人研究Z』→amazonただ一冊だったのでアレっと思った。本のクォリティが大々的な広告に見合わないという意味ではもちろんなくて、なぜこの本が一冊だけデンと出ているわけ?という疑問だったんだ。その広告はいかにも不自然であったが、日常を生きる人間の意識というのはいつも清澄というものではなく、おれなんか特に混濁していて落ち着いて立ち止まれば見逃せないものでも、なんとなくそれはそれとして受け流してしまうものなんだな。

とにかく一旦、その不思議さはおれの中を通り過ぎていった。しかし今日新刊の文庫を愉しみに見て回ったら様子が変なんだ、ちくま文庫の新刊に、先月か先々月に出たはずの究学会『定本 畸人研究Z』がふたたび「今月の新刊」としてラインナップされ、店頭に並んでいるのだ。腰巻を見たらちゃんと今月の新刊の中に入っている。つまり『野坂昭如エッセイ・コレクション3 ポルノグラファー』→amazonとかあとこれは学芸文庫だけど、大塚英志江藤淳と少女フェミニズム的戦後 ―サブカルチャー文学論序章』→amazon。あとこんなのも出るみたいよ)とかと一緒に、書名が載っている。これは不思議だなあと思ったよ。奥付にはなんもなかった。それどころか、2004年6月某日の初版発行に、ちゃんとなっていた。ますます怪訝に思って腰巻を見直したら、書名の横に、<再配本となりました>と出ている。<となりました>とあっけらかんと言われてもな。

これはなんなんだろ、おれこの疑問、持ち越したくないよ。こういうことに詳しそうなヤスーさんのサイト(id:yasulog)にも書いてないし学会のサイト(http://www.digipad.com/digi/kijin/index2.htm)は長いこと更新が止まってる。版元のサイト(http://www.chikumashobo.co.jp/top.html)にはもちろんなんもない。おれ明日問い合わせて見ようかな、なんかあったのかな、人権問題とか。尤も中身は6月に出た時のものと、なんら変わっていない。だからおれ思ったんだけど、怪しいのは帯じゃねえか。6月に出たやつの帯になんかあったんじゃねえの陰謀史観気味?)。おれそのうち買えば良いやと思って、6月に買ってなかった。真相は藪の中。次回につづく、かもな。