ぼくの好きなアーカイブ1 高橋ユキヒロ「Ark Diamant」(1983)


1983年の高橋幸宏(当時はユキヒロ)のライブツアー「YUKIHIRO TOUR 1983」は、鈴木慶一立花ハジメコクトーレーベルのビル・ネルソン、ABCのデヴィッド・パーマーなど、豪華なメンバーを擁して行われた(http://sound.jp/dbymo/history1983.html)。その模様はDVD『1983 ボーイズウィルビーボーイズ』としてパッケージ化されており、今でも見られる。

上の動画は、高橋と鈴木によるユニット・ザ・ビートニクスの楽曲で、DVDに収録されている映像とおなじものだが、これは自分が考える80年的な(精確にいえばサブカルチャーにおける80年代は前後ふたつに分かれると思う。仲俣暁生はその境を85年のプラザ合意にあるとして自分は頷いたが、皮膚感覚的には86年のどこかに置いている。テクノポップの後退/Jヒップホップの勃興?)カッコよさを具象化した映像である。

この映像のなかで異彩を放つのは、つぶらな眼でマッシュルームカットの鈴木慶一もそうだが、即興でサックスを吹き鳴らしたり、そうかと思えば機械人形のようにシンバルをぶっ叩くなど、フリーキーな動きを連発する痩身の立花ハジメである。

80年代における立花の立ち位置は、YMOムーンライダーズのようなカリスマ性のあるものではないが、まぎれもなくワンアンドオンリーな存在感をもつものだ。精巧にできたオブジェみたいな一連のソロアルバム
を、自分はさいきんまた、愛聴している。インダストリアルなドラム、ノーウェーブなサックスやベース、そして80sまんまなアナログシンセや大胆なサンプリングが形成する、踊るには洒脱すぎるミニマルミュージック。曲名に見ることができる、ネーミングセンスも好きだ。「夜の突起物」とか、「Sex Simbol Strikes Back」なんて、そうそう思いつくものではない(両曲とも『Hm』所収。前者は作曲者・矢口博康命名かもしれない。そうだったらすみません)。エッヂの立ったそのセンスは、去年リキッドルームで見たPLASTICSの復活ライブ(対バンはCornelius group)でも見て取れた(タイクーン・トッシュこと中西俊夫の動きと衣装は年甲斐がなくて痛々しかったが)。遅れてきた世代として、今後立花氏の再評価がすすみ、その活動の全容がはっきりしてくることを望みます。

Hm
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