おれ、グッドマンへの愛を大いに語る

この連休は、渋谷O-NESTで開かれている円盤ジャンボリーと、秋葉原CLUB GOODMANが開催するALTERNATIVE ELEKI-TOWN FESTIVAL3DAYSがぶつかり合うように同時開催されており面白い。もちろんお互い対抗している訳じゃないし、前回の円ジャンはグッドマンで開かれた。ただ、オルタナティブ変態バンドシーンの最前線が、いま、この二つのライブハウスで展開されているということである。

グッドマンはパニックスマイル吉田さんの退社でブッキングがどうなるのか心配していたが、これを引き継いだのがこれまた福岡出身の同系バンド・ボストンクルージングマニアの方で、おそらく吉田さんの仕事ぶりを常に近くで見ていた方だと思うのだが、吉田時代と変わらない、いやそれ以上を狙ったスケジュールを組んでいて、ファンとしてとても頼もしく思っている。ちなみに15日はグッドマン、突然段ボールパニスマスッパマイクロパンチョップほか、といった3日間でいちばんグッドマンっぽい面子の企画だったのだが行けなかった。

それで16日は、ネストでの水中、それは苦しいオーケストラも相当気になっていた。水中の3人にゲスト1人を加えてさらにストリングスが20人くらい付いてくるという本当にあほらしい、けれどとても好感の持てる、円盤以外どこがやるのか、という企画だったが、よく考えたらおれは水中、それは苦しいをそれほど好きなわけでもなかった。「安、安、安、安めぐみ!」という曲に対してもそれほどの思い入れはなかった。

それで秋葉原で5組が出演する企画を見た。悲鳴は見逃したが、ヨルズインザスカイCLISMS、nemo、THE原爆オナニーズといった、ずっと見たかったバンド(前半二組)、なじみのバンドを一気に見た。面白い企画なのに、面子にまとまりがなさすぎたためか入りは最大でも70人いってなかったはずだ。残念だ。

ヨルズもクリスマスも若い。クリスマスはツインドラム(ドラムセットが互いに接していて、プレイヤー二人が向かい合っているという面白いセッティング)の片割れがメインボーカルというのが面白かったが、キングブラザーズのマーヤみたいな突っ走ったパフォーマンスでそれが少々会場のテンションとずれていて、そこも面白かった。この2バンドはこれから半年に一度ずつくらいは見てみたい。nemoは相変わらず会場を自分らの出すノイズで自分らの空間に仕立てていた。しかしちょっと疲れた。

オナニーズはいつも通り最高だ。つってもまだ3,4度しか見ていないが、見るたび全力で楽しむことだけ注意して臨んでいる。この日はモッシュに加わった。おれくらいの人間でも参戦できるくらいに、モッシュピットがさみしかったのだ。曲をほとんど知らなくても、一度聞けばすぐにコールアンドレスポンスに参加できる。オイオイオイと右腕をタイミングよく突き上げることができる。こんなバンド他にあるか?みながハッピーになれるパンクバンドだ。地元愛知で終電を逃して奥さんに迎えに来てもらった話とか、『KOCORONO』(96年)のときのブッチャーズみたいに、いつか新曲だけでライブをやってみたいが誰も乗れないだろうとか、MCも人間味あふれている。後半は、タイロウさんが客にダイブを奨励していたので、踊るのと人を支えるのを半々でやった。

企画も良かったが、今日書きたいのはグッドマンのすばらしさについてだ。5月の鈴木慶一×向井秀徳アコエレのときも感動したのだが、簡単にいかによいハコであるか、ぜひとも書いておきたい。nemoの人も冗談交じりにグッドマンはとてもやり易い、とMCしていたし。

まず酒、ドリンクが豊富である。並大抵のバーよりも充実している。酒を飲みたくて来る、という来場動機が普通にアリである。それでドリンクチケットを入り口で買うのだけれども、酒が飲めない、ソフトドリンクほしい、という人は、一枚のチケットで2杯のソフトドリンクが飲めるようになっている。または、ドリンクチケットを、1杯のソフトドリンク+200円分のドリンクチケットに交換することも希望すればできる。酒とソフトドリンクが等価というのはどういうことなんだ、という客の潜在的な異議申し立てに答えている。汗だくのライブ後も、キッズはウーロン茶を二杯、グッといくことができるのだ。あと、単にメニューが豊富なだけじゃなく、随所に座ったり寄りかかったりできる椅子やテーブルが配されているので非常にリラックスして滞在することができるというのも書いておきたい。

フードもよろしい。腹にたまるホットドッグが100円であるというのもいいが、漁港(http://www.gyoko.com/index2.html)の人が市場から直送した、まぐろぶつというのが特別メニューとしてあって非常に楽しい。食ったことはないのだけど。

あとはPA。音がむちゃくちゃ良いらしい。らしい、というのはおれの耳はそんなに良いもんじゃない。変な音楽聴きすぎて緩んじゃってると思うから。良いらしい。吉田さんも自信を持ってすすめていた。そして映像。ライブハウスの、ステージ上を映す映像って、わりと惰性というか、おまけでしょう。カメラアングルも変わらないし、なくてもいいけどあった方がいいでしょ、という会場の声が聞こえてくるような粗末なものが多い。ロフトとかね。

しかしグッドマンは、公演によるのだが、複数のカメラ+効果的なスイッチング、時に映像にいくつかのエフェクトがかかるといった凝りようなのである。グッドマンはステージが見易いから画面をことさら注視する必要はないのだが、よく撮れているからついつい見てしまう。ちゃんと映像まわりに専任の人を付けているということです。

他に、バンドの合間合間に灰皿を交換してくれたりとか、幕間の映像が日本映画やドラマとかを使っていて面白いとか、いろいろあるが、また今度書こう。おれの現在の評価だと、会場まわりの快適さはグッドマン、スケジュールの濃密さでネスト、という感じである。この夏も、もっと楽しませてくれそうである。


#細密で唸るようなライブレポートがあった(22日追記)。
http://d.hatena.ne.jp/PIG-M/20060720#p1