このごろの読書

プリーストの『奇術師』『魔法』を連続撃破し、またちょっと短いものを挟みたくなったので、fairaさんミニコミ『PLANETS』二号でインタビューしたという鹿島田真希の『六〇〇〇度の愛』(新潮社)を読んでる。往来座で400円で買えたのだ。

鹿島田氏の小説は一作目の『二匹』(河出書房新社)を99年1月24日に読んだきり一作も読んでなかった。あれは酷かった。まるで響くところがなかった。あんな酷い(デビュー作の)読後感は佐藤○哉と双璧だ。だもんで遠ざかっていたけれど(What a long way you've come,baby!)、ここ最近の文壇(?)での評価のされた方でまた気になりだしていたので、今回(のfairaさんの取材)は良い機会だった。

まだ半分だけど面白い。細やかな心情の描き込み。一般的なリアリティはないのだが、この小説のなかでのみ通用するリアリティがある。SFばっかり読んでいると、それが軽んじられ、抜け落ちているだけに、女性の視点であるとか身体感覚とかをきちっと書くのはやはり重要だという気がする。ガッと読めてスカッと面白い小説には抜け落ちているものがやはりいっぱいある。