YEE!LOOK!!vol.4 -Limited Ex release party-

シェルターでLimited Express(has gone?)http://www.limited-ex.com/)主催のYEE!LOOK!!vol,4-Limited Ex release party-。いっつもこのバンドの企画は平日なのだが、2月のシェルター、6月と10月のネスト、そして今回と、万難を排して駆けつけている。これを見なくてどうして生きている?ってくらいこのバンドのライブはおれの中でプライオリティが高く、全てに優先する。

着いたらGODS GUTSは終わっていた。最終的には50人くらいは入ったのだろうと思うが、2組目のヨルズインザスカイの中盤くらいまでは20人くらいでガラッガラだった。リミエキのライブパフォーマンスに心酔しているおれは、毎度こうした光景を見て寂しい気持ちになる。自らの虎の子を突っ込んで、京都から来ている脂の載ったイキのいいバンドがいる。なのにそれをきちんと迎えてあげられる客がこれっぽっちというのは寂しい。リミエキの飯田さん(http://limited-ex.jugem.jp/)は物販の売上がヨルズ(大阪)の交通費になると言っていたが、今このバンド(リミエキ)を見ずに何を見る?ってくらい昂揚しているのはおれだけなのか?green milk from the planet orange(http://www.green-milk.com/)のDead Kが「ネオアンダーグラウンドシーン構想」(http://www.neounderground.jp/)という必読のステイトメントで提起した、日本のアングラバンドが直面している(欧米と比較しての)状況の厳しさ、シーンと呼べるシーンの不在が単なるファンのおれにもひりひりと実感されるのだ。ましてリミエキは順序を踏んで、音楽的にも、DIYなオーガナイザーとしても、そして海外をまわる国際ライブバンドとしてもレベルをどんどん高めている。それなのに、精力的に自身の企画も組み続けているのに、彼らの企画動員は全然伸びていない。これはどういうことなんだ? アングラ音楽が閉じこめられているタコツボは、文学のタコツボと比べものにならないくらい、深くて暗いという気がする。

残念ながら今晩のリミエキはあんまりパリッとしなかった。ユカリ(http://www3.diary.ne.jp/user/310739/)が「会場に医者はいないか、血糖値が低くて意識が一瞬なくなる」とか、飯田との曲始まりの呼吸が合わなかったりとか、客のぬるい拍手を気にしたりとか、その辺りに原因があったのだろうか、判んねえけど。今年見たライブはいずれも気絶するくらい良かっただけに寂しかった。

とはいえそれはおれの要求が高すぎるから。Talk to me alrightで始まり生け贄のJesus Childで終わり、アンコールがアロハ。飯田さんは演奏スタート時からいつも通りの過剰すぎるパフォーマンス。ドラムのJOSHは風貌は若いときの高橋幸宏で、通常はわりと歯切れ良く軽快に叩くのに、曲が上がってくると瞬時にバンドの勢いを推進するような最高に気分のいいドラミングをする。今年、飯田さんとユカリちゃんが前ドラムの奈良崎さんの脱退からほどなくして立ち直れたのは、この人の才能を発見し、一層の躍進を確信したからにちがいない。また、今年中盤から聴き続けている新曲は、いずれも一癖ありながらも基本パンクで、はやくiPodに入れて持ち歩ける日が来ることを望む。

終演後シェルターの階段を上がると、右側にびっしりチラシ配りのバンドマンが並んでいてのけぞった。これだけライブハウスの外でのチラシ配りがいるのって見たことなかった。良いことなのか、それともタコツボ説の裏付けとして悲しむべきか。group_inouのMCの人が先頭にいたので、チラシをもらいながら「CD買いましたよ」なんて微笑ましい言葉を思わず口にした。

ドラマで遠藤周作 北杜夫『狐狸庵VSマンボウII』(講談社文庫)、桐野夏生『柔らかな頬』上下(文春文庫)、CAPTAIN HEDGE HOG『CHEST』、Todd Rungrenの『Rust』『Nearly Human』をドカっと買った。北氏の対談文庫は好きだ。おれが持ってるのは阿川弘之との『乗物万歳』(中公文庫)、同じく阿川氏との『酔生夢死か、起死回生か。』(新潮文庫)だが、まだいろいろあるんだろうか。躁状態の対談における発言は、夜露死苦現代詩の域にあるといってもよいだろう。『乗物万歳』は、対談本における、韻を踏まないフリースタイル、狂気ほとばしるマスターピースだ。