いくつものバンドが迎えた分岐点にアスパラガスも立ってしまった


春にロッキンオンジャパン主催の「Japan Circuit」に登場、夏にはロックインジャパンフェスに呼ばれ、暮れのカウントダウンジャパンでは、30日(幕張メッセ)のヘッドライナーを飾る。先月はフジテレビの名門公開ライブプログラム「FACTORY」にも出演。ピッツァオブデスコンピレーションアルバムへの楽曲提供、そして記念ライブでもファンを広げた。さらに来年頭には盟友BEAT CRUSADERSとのスプリットシングル『NIGHT ON THE PLANET』の発表、そしてもちろん、全国をビークルとツアーでまわる。シャイで商売ッ気のない渡邊忍が率いるメロディックパンク3ピースバンドASPARAGUSはいま、より大きなステージに乗り出そうとしている。

そしてなぜそんな時に、それともそんな出来事は得てしてそういう時に出来するものなのか、鉄壁の演奏を支えるトライアングルの一角、ベースの山下潤一郎の脱退が発表された。いち早くおれにそれを伝えたのはmixiのコミュニティ。だいぶおくれてオフィシャルでも発表があった。サポートの加入で来年のツアーは対応するが、一部の公演は延期になるというから大変な話だ。現在の編成での最後のライブは12月30日の幕張メッセになるようだ。

蛇足だが、おれが一心不乱に追ってきたバンドも何でこんな良い時に…というタイミングでメンバーが脱退した。去年はZAZEN BOYSアヒトイナザワ、今年はLimited Express(has gone?)のドラム奈良崎幸司。54-71のギターのスカムさんやROVOの中西さんは一昨年だったっけ?でも芯が強いバンドはそのたびに逆境を跳ね返す進歩や、息を呑むような変身を遂げている。だから同じことをアスパラガスにも期待したいが、既存の楽曲で3ピースバンドの最高到達点とも思える、緊密で美しいアンサンブルを誇ってきたアスパラの演奏が、まちがいなく何らかの変化をするのかと思うとほんとに悲しい。

mixiではすでに内定していると思われるつぎのベースが誰かを予想するトピックが立っている。渡邊が以前フロントマンを務めたCAPTAIN HEDGE HOGのベーシストKAZUO "0343"や解散した盟友SHORT CIRCUITの原直央を予想する声にはうなずけるが、一方でインディーズ時代のビークルでベースを弾いていたumuULTRA BRAiN難波章浩、さらにはSLOTH LOVE CHUNKS中尾憲太郎を挙げる、意外な声もあった。この界隈のバンドは、何年にも亘って、狭い人間関係のなかで離散集合を繰り返しつづけているので、上記人名のなかに既に答えはあるのかもしれない(いくら何でも難波や中尾はないだろうが)。