わがよき坑夫

大友良英の単行本、栗原裕一郎『盗作の文学史』、「偽日記」の古谷利裕『世界へと滲み出す脳』など、今月は面白そうな新刊が軒並み2000円越えなので戦々恐々として本屋まわりす。そんななか新潮文庫「おとなの時間」シリーズとして新装した漱石『坑夫』はおれによって思い出深い漱石本ということもあり、おれ、その腰巻きに載った文章に軽いめまいをおぼえる。

100年前、すでに漱石が残していた
生々しワーキングプアの惨劇!
働けば働くほど苦しい

『坑夫』ってそんな話だったっけか?? 『蟹工船 党生活者』で味を占めたか、古典をワープア文学として読み直していって順次ムリムリ腰巻き付け替えていったら、そこはスターリニズム下の翼賛文学マーケットみたいになって、ひろがるその平積み台の景観、書店と書肆が喜んで、読者はげんなりするものとなるであろう。

ryuto taonの映像コラボレーション


3月のライブ以後、ryuto taonは燃え尽き症候群に、かちゃくちゃは失語症に襲われ、事実上活動休止状態のryuto taonと抱擁家族。しかしryuto taonは苦境のなかにあって独り雨露を飲み、飢え(?)を凌ぎながら陋屋でひっそりとトラックメイキングに勤しんでいた…しかも30分もの長大な楽曲を…! 会場に5枚のマルチスクリーンを配し、映像と音楽がリアルタイムで同期していく、最近の坂本龍一の『utp_』『LIFE…』といったパフォーマンスの向こうを張る実験プロジェクトにぜひお立会いください。おれは行けないけれど。そしてあと3時間ちょっとで始まるイベントなのだけれど。会場は千駄ヶ谷Loop-lineだ。

http://www.loop-line.jp/2008/07/more.html#a000689

「TANEOMI Audio Visual Laboratory」


開場     18:00
第1回ライブ 18:30〜
第2回ライブ 20:30〜

※第1回、第2回のライブ(1時間30分程度)は同じ内容です。途中出入り自由ですので、1回目のライブ途中から観て2回目のライブ途中で帰られても構いません。

2000円(1ドリンクつき)

Movie × Live Painting
Daisuke Tou(Movie) × ogawa keiko(Live Painting), KOYANAGI Junji (music)

Movie × DJ
Daisuke Tou(Movie) × So Oishi(DJ)

Movie × Electronica Live
Daisuke Tou (Movie)× Ryuto Taon, Shintaro Aoki(music)


東京の映像制作集団「TANEOMI」による"Audio Visual Laboratory"は、「映像+音楽」を別の視点から捉え、様々な表現を試みるライブイベント。
「音と映像の遊び」をテーマに、 ミュージシャンと映像制作者がリアルタイムで影響を与え合い、ひとつのパフォーマンスという作品を築きあげていく、そんな実験的なライブの形を提案していきます。
会場には5枚のマルチスクリーンを設置し、観客の皆さんが映像に囲まれるような空間を創りだします。
1時間半にわたるパフォーマンスでは、「映像×ライブペインティング」「映像×DJ」「映像×エレクトロニカ・ライブ」のコラボレーションを行っていきます。


「Audio Visual Live」について
ヨーロッパなどで徐々に広まりを見せている、新しいライブパフォーマンス。
その名の通り、「Audio(音)」と「Visual(映像)」の両方を同時に楽しむことを目的としている。通常は映画館などを会場にして、同次元で組み立てられた映像と音を、座って鑑賞するスタイルで行われる。
イギリスのマルチメディア集団「The Light Surgeons」らが先駆けとなり、VJやビデオアーティストを中心に徐々に浸透しつつあるパフォーマンスのスタイルである。


TANEOMIプロフィール:
早稲田大学理工学部の卒業生が中心となり結成した映像制作集団。ミュージックビデオ、ショートフィルム、ウェブデザイン、演劇作品の映像演出など、幅広く活動している。
街中でVJを披露する「ストリートVJ」など、映像を使ったユニークな実験も重ねている。
www.taneomi.com


#10月、一部修正。