見ぬけんUSOがまかり通る街並に俺は立っていた
見ぬけんUSOがまかり通る街並に俺は立っていた
ZAZEN BOYS「USODARAKE」

昨年中盤に平田裕香の写真をダシにグラビアについてちょっと書いたが、あの内容は結局、2004年のアイドルグラビア界全体に対する自分の意見になっていて、今年グラビアは、我々の気づかないところで、一つの歴史を終えてしまったのではないかと思っている。キワモノもスタンダードも出尽くし、奇抜な演出もやり尽くされた今後はもう、何が出てきても見る側の気持ちは鈍磨して感動を覚えないし、何を見ても何か思い出すような焼き直しと再生産のエアポケットに入ってしまったように感ぜられる。それこそ眞鍋かをり(スタンダード)MEGUMI(際物)のグラビアに毎週胸を躍らせていたおれ、もう二度とあの日のきらめきこの腕に取り戻せない、とグラサンかけながら呟くしかないのである怜なんかが出てきても、もう誰もなんとも思わないでしょ?)。これは個人的な感想だろうか?うまく説明できないが、そうとも思えない。

そんなおれの気持ちを後押しする決定打となったのが最新写真集『Lady-go!』(講談社→amazonの付属DVDにおいて森下千里http://www.taleme.net/talemeeyes/200412/30.html)の乳首が露出してしまったといういわゆる「ポロリ」にまつわる事件だ。まずid:erohenのタレこみで事態を知り、次に今もコンビニに並んでいる『増刊大衆』1月25日号の記事(「仰天スクープ 人気アイドル・森下千里の乳首映像が買える!?」)を参照しながらDVDを再生したけれど、事実を確認した後(あくまでおれらの解釈ですから、ご覧になって判断してください)に襲ってきたのは隠蔽されていたものを見たという達成感よりも、何か一つの時代が終わってしまったという、『こころ』的諦念と呼ぶしかない気持ちなのだった。森下という2004年、まちがいなく職人的グラビアアイドルとして、円熟の仕事を重ねたグラビア界至高のミューズが、こともあろうに、『@BUBKA』とかお宝雑誌の誌面でならまだともかく、自らの写真集に付属されたDVDというこの上なくオフィシャルな場所で、その水着の内側に隠し続けていたものを晒してしまうという事態。外(お宝雑誌)と内(公式写真集)、水着とヌード、正統派と異端……、これらを厳然と隔てていたグラビアのウォーターゲーツがゆっくりと、一斉に決壊していく音をおれは頭の中で聞いた。ただのポロリごときに大げさな、と思われるのは仕方がない。しかしこの「ポロリ」はおれにはグラビア界の飽和・溶解状態を告げる、歴史の終わりの象徴としか解釈できなかった。

水着ではないが、個人的にグラビアの終わりを感じさせた出来事もう一つ挙げたい。ともすれば何でもありのポルノに行ってしまいがちなヌードグラビアというジャンルを、長年その身をもって定義づけし護り続けてきた風野舞子http://www.kazanomaiko.com/index4.html)の9月の引退も衝撃だった。「お菓子系」の時期も入れてその活動期間7年。
見たくないやつは見ないで済む小口止め時代、ヌードグラビアよりもえげつないグラビアこそが求められるとするなら、今年の風野の引退もすぐれて象徴的だ。つまり今後はもう、しっちゃかめっちゃかのぐちゃぐちゃ時代である。

とは言え、もちろん今年は今年でいろいろあった。ざっと振り返ると、川村ゆきえhttp://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=ragstar7")の大量露出とブレイク(下記の小口止めと相俟って、蠱惑的な垂れ目にかどわかされジャケ買いして落胆した経験の多かったこと。雑誌を手に取る男の期待感を煽ってやまない川村ゆきえは、小口止め時代の新型グラビアアイドルだ)相武沙季http://www.box-corporation.com/saki_aibu/)の水着グラビアへの華麗なる参入、岩佐真悠子の不貞腐れキャラの打ち出しの確立、安田美沙子下村真理の躍進(一緒に括っちゃ悪いか)、都の青少年健全育成条例改正に伴ってのコンビニ雑誌の小口止めによる自主規制、大久保麻梨子http://www.neue-kobe.co.jp/okubo_mariko/)や田辺はるかといったタレント化しない(できない)純粋グラビアアイドルのそこそこの活躍、『FLASH』での連載「最後のグラビア」、婦人田辺あゆみを写した『もう、家に帰ろう』(ロッキング・オン→amazonの刊行、責任編集として関わる季刊『最前線』(朝日出版社→amazonの創刊など、藤代冥砂の精力的な活動、「安打製造器」という比喩がもう比喩を貫通して実際にグラビア「マシーン」と化しながら安定した写真を量産し続けた小倉優子の名状しがたい不気味さ、大城美和の『GANTZ』のコスプレや猥雑なムック『桃色サロン』のリリース、)イエローキャブの分裂、IZAMのカメラマンデビュー(氏曰く、<IZAMという一人のアーティストは皆様が考えているくらいのキャパシティではけっして収まらないという僕自身の存在の証明としてです。>FLASH』9月21日号)あるいは彗星のようにグラビアのスターダムに登りつめ、篠山紀信によるヌード写真集で一瞬にしてそこから「上が」ってしまったかでなれおんなど、いろいろ記憶に残り、かつ記録に残してもいいようなことはあった。しかし……伝達できん自分に腹が立つ、なんていうかこの気持ち、判りますか?

あと2004年下半期に原因不明なブレイクをした愛川ゆず季http://www.liverp.co.jp/dvd_video/aikawa.html)のグラビアを見ていると、後ろの方で黒っぽい業界の人たちが暗躍しているのが見える気がして怖いんですけど、この気持ち、判りますか?