まがじなりあ・あちらこちら13 / ヘンな文章が好きだ2 『プリンツ21』四谷シモン特集号で広告写真に戦慄する

プリンツ21』87号(プリンツ21)は四谷シモン特集なのだが…中身のほうは飛びぬけて良いとも悪いともいえない内容だが…上にご覧いただいている、いわゆる表4広告が、ちょっと異常なような…。

香川のだし醤油メーカー「鎌田醤油」(http://www.kamada.co.jp/)の広告なのだが、四谷シモンのおどろおどろしい球体間接人形10体が、ほの暗いカーテンを閉め切った洋間に思い思いに並んでいて、部屋の中央に食卓テーブルがあり、そこにおいしそうなごはんと「だし醤油」が、そこだけキラキラした色彩を持って鎮座ましましているという、大変ホラーな写真になっている。特に、画面左下で床に腰かけている、バイオハザード的世界観を持った土気色の人形は、右手に「だし醤油」をつかんでいるという、あり得ない状態で写っていてほんとうに不気味だ。子どもが見たら泣くだろうし、だいたい広告としてどうなのか…。写真上部に、控えめに広告コピーが載っているから、改行そのままで引用しよう。

坂出の老舗
鎌田醤油の
敷地内にある
旧い洋館に
四谷シモン
人形達が
棲んでいます。
夜な夜な繰り広げられる
人形達の宴には多分
カマダのだし醤油が
使われていることでしょう。

そういうことか。たしかに広告の下底に、鎌田醤油の所在地と「四谷シモン人形館・淡翁荘」の所在地が書いてあるのだが、おんなじところになってる。鎌田醤油株式会社の敷地内に、人形館があるということか。でもこれは『プリンツ21』を四谷氏目当てに手に取る読者にはなんの不思議さももたらさないのだろうか。直島にアートがあるのとおなじくらい、坂出に人形館があるのはアートな人には自明のことなのだろうか。そしてこれはわりと確信を持っていえるが、<人形達の宴>には、カマダのだし醤油は使われてないと思う。おれは狼狽しつつ、そう思った。