ryuto taonが初心者におすすめする、スピリチュアルに暮らすための本たち


ここでは彼の本棚(もちろん手作りである)から、断腸の思いで5冊だけ、入門的良書をえらんでもらった。pop的リコメンデーションもそえてご紹介する。

○シヴァナンダ•ヨーガ•ヴェーダーンタ•センター編著 菊水美佳訳『スワミ•シヴァナンダの瞑想をきわめる』(産調出版,2004)
瞑想というのは基本的にはインドの伝統的文化に根ざしています。ヨガもそうですが、伝統文化の源流となる瞑想を、分かりやすく、充実した図版や写真をまじえながら伝えています。瞑想にはたくさんのやり方がありますが、ぼくがやっているのはマントラをつかった瞑想。マントラというのは意味を持っていないことば(音)のこと。たとえばキリスト教で言えばアーメン、ハレルヤとか、それ自体では意味がないことば。この本では、マントラをつかった瞑想について非常にふかい説明がなされています。

宝彩有菜『始めよう。瞑想 15分でできるココロとアタマのストレッチ』(光文社知恵の森文庫、2007)
瞑想入門書としてはすぐれた本です。あまり宗教的だったりスピリチュアルな感じだったりに偏っておらず、客観的な視点で書かれています。

加島祥造『タオー老子』(筑摩書房、2000)
これは有名な本です。フォークナーの翻訳など、英文学者としても有名な加島さんが、老子の著作を訳したものです。老子の本はたくさん出ていますが、これは老子の漢文を日本語に訳したものよりも、非常に分かりやすくなっている。なぜかというと、この人は老子の英語訳を読んで、そこから日本語に直しているからです。老子をそのまま日本語に訳してしまうと、分かりにくくなってしまいがちですが、英語経由で治していることで、シンプルかつダイレクトにエッセンスが伝わってきます。文庫でも出ていますが、読みやすい単行本がおすすめです。

○J•クリシュナムルティ著 藤仲孝司訳『子供たちとの対話 考えてごらん』(平河出版社、1992)
人間のあらゆる苦しみは、思考とか観念とかから生まれるものです。そういうものから自由にならなけれがいけない。要はブッダとかと同じことを言っているわけですが、それを現代的なことばで言っているのがクリシュナムルティです。もともとは貧しいバラモンの階級に生まれ、こどものころは愚鈍と呼ばれていたそうですが、あるとき心智学のリーダーが彼をみつけて、これは世界教師の器だと確信し、スピリチュアルな英才教育をほどこしたそうです。そののち、星の教団という宗教団体の教祖に、むりやり置かれてしまう。この教団は世界40カ国に5万人ちかい信者を抱えていたけれど、教祖のクリシュナムルティみずから、教祖をリタイアして、教団を解散させてしまう。彼は、人間が組織をつくっていては、真理には近づけない、真理は一人でしか近づけないものだと考えていたんですね。

エックハルト•トール著 飯田史彦監修 あさりみちこ訳『さとりをひらくと人生をシンプルで楽になる』(徳間書店
この本はまず、日本語のタイトルがひどい(笑)。原著の題は”The POWER of NOW”というんですが、そっちの方が内容を正確に表していますね。日本語版は読者に読みやすいようにという配慮からか、文章が変えられていたり、削除されていたりする箇所があります。まず日本語で読んでみて、興味が出たら原著を読んでみるのもいいですね。
なぜNOWかというと、人間にはいまという瞬間しかないのだという考えがあるからです。過去は、人間が頭の中で、記憶から作り出した幻影のようなものであり、未来も同様に、その過去から投影されたものでしかないということです。過去や未来という概念は、人間がプログラムした概念に過ぎないのに、それに縛られて、未来を予想したり、おびえたりしてしまいます。これは人間が言語をもったときから始まっていて、人間の思考は過去に根ざしているから、ほとんどの人は過去に集中してしまっているんです。こうした、記憶、感情、思考といったパターンに、人間はあたかも自分の意志で生活しているように思われているけれど、コントロールされてしまっているんですね。瞑想は、そこから自由になるということで、それを「今を生きる」と言うわけです。この考え方は、ブッダクリシュナムルティだけでなく、キリストも本質的にはおなじものを持っています。